ホーム ナノネットESCA公開のお知らせ>測定手順



文部科学省 先端研究施設共用イノベーション創出事業 ナノテクノロジー・ネットワーク

『中部地区ナノテク総合支援:ナノ材料創製加工と先端機器分析』
「X線光電子分光支援」

戻る


2007年4月1日 記載責任者 横山利彦(内線7345)
担当者 中川剛志 (内線7341)
0. 試料の準備
  1. 試料は導電性基板上に堆積した薄膜が理想です。通常の多結晶粉末試料は、Cu板の上に導電性両面テープを貼ってその上にすりこむようにすれば結構です。試料が絶縁性の場合帯電を避けるためごく少量をすりこむのが重要です。粉末試料用のCu板とカーボン製両面テープは備付のものが利用いただけます。基板ごと持ち込む場合は試料ホルダーの図面を参照ください。
  2. 試料の蒸気圧が高くないこと、溶媒が真空中で蒸発しないことなどを確認してください。怪しいものは、少なくとも低真空で昇華しないこと、溶媒が抜けないことなどを確認ください。
1. 試料室vent、試料ホルダー取出し
  1. 真空コントローラ(写真2)のボタンをVent Preplock ⇒ Vent Enableの順に押す。
  2. 1-2分待つとポンプが自動停止し、その後2-3分かけてゆっくりと大気圧に戻る。
  3. 大気圧に戻ったら試料室(写真1-A)の蓋を開けて、試料ホルダー (図面)を取り出す。試料ホルダーをつかんでいるツメをしっかり開けて、試料ホルダーを引き抜く。
2. 試料取付

試料をネジでホルダーに固定し、1のa〜cの逆手順で試料室に戻し、ふたを閉める。このときトランスファーロッドを最も引いた状態にすること(回転ノブを時計回りいっぱいにした状態)。

3. 試料室真空引き
  1. 真空コントローラ(写真2)のボタンをVent Enable ⇒ Vent Preplockの順に押す。
  2. 真空コントローラのRestart Pumpボタンを押す。
  3. ポンプが動作する。
  4. 20分ほど真空引きする。Pirani1(写真2)のインジケータが1以下であることを確認する。
4. 測定室に試料移動
  1. 真空コントローラのTransferを押して、測定室(写真1-B)と試料室の間のゲートを開ける。
  2. このとき真空計(写真2−B)が2×10-7 Torr以下であれば次に進む。もし真空度が悪いときはTransferを押してゲートを閉め、真空が上がるのを待つ。
  3. トランスファーロッドにより測定室のマニピュレータに受け渡す。マニピュレータの二本のピンに試料ホルダーを差込み、”ツメ”用の回転ノブを回して”ツメ”を外す。
  4. トランスファーロッドを試料室に戻し、Transferボタンを押してゲートを閉める。
写真1
図を拡大して見たい方はこちら
写真2
図を拡大して見たい方はこちら
5. 測定位置に試料移動
  1. 測定室内をライトで照らし、モニターを付ける。
  2. 測定室のマニピュレータにより試料を移動させる。モニターで見て焦点が合った位置が正しい測定場所である。
6. X線管を前に出す

最後まで出すと試料ホルダーにぶつかる事があるので注意。

7. X線管ON

  1. 真空度が1×10-7 Torr以下であることを確認する。真空が悪い場合はTiゲッターポンプを1回動作させる。チタンポンプの制御装置はパソコンモニター下のラックにあり、電源ONで動作する。動作が終了したら必ず電源OFFにする(OFFにしないと一定の間隔で動作してしまい、測定に影響を与える)。
  2. 循環水を流す。チラーのボタン(写真3-A)を押す。
  3. 使用するX線の種類を選ぶ(写真4-A)。
  4. X線コントローラ(写真4)のスイッチ(写真4-B)をStartに合わせる。
  5. 電圧ノブ(写真4-C)を反時計方向に最後まで戻す。
  6. スイッチ(写真4-D)をONに倒したままWaterランプ(写真4-E)が点灯したら、スタートボタン(写真4-F)を押す。その後、スイッチを放す。正常であればフィラメント電流が上昇する。
  7. 電圧(写真4-Cノブ),電流(写真4-Bスイッチ)を少しずつ上げ、規定の出力を得る。
    電圧 5kV ⇒ 電流 5mA ⇒ 電圧 10kV ⇒ 電流 10mA ⇒ 電圧 15kV ⇒ 電流 20mA (Mg源のときはここで終了)
    Al源のとき さらに ⇒ 電流 34mA
    真空度が1×10-7 Torrより悪化した場合は、電流を下げ真空の向上を待って再度電流を増加させる。
8. スペクトル測定

PCを使って測定する。PCの使用法は別ページに掲載してある。
真空度が1×10-7 Torr以下であることを確認する。計測率が100,000 cpsを越えたら測定を中止し、パスエネルギーを下げる、電子レンズを変更するなどの処置をとる。


9. X線管OFF
  1. OFFボタン(写真4-F)を押す
  2. 電圧ノブを反時計方向に最後まで戻す。
  3. スイッチ(写真4-B)をEHT Onlyに合わせる。
  4. スイッチ(写真4-D)をONに倒したままWaterランプ(写真4-E)が点灯したら、スタートボタン(写真4-F)を押す。このときフィラメントは付かないで冷却水だけ流れる。
  5. X線管を最後まで後退させる。
写真3
図を拡大して見たい方はこちら
写真4
図を拡大して見たい方はこちら
10. 試料取出し
  1. 4.の逆の順序で試料ホルダーを測定室から試料室へと移す。
  2. transferを押して、ゲートバルブが締まっていることを確認する。
  3. 1.と同じ手順で試料室を大気に戻して試料を取り出す。
  4. 試料を交換して測定を続ける場合は2.に戻る。
  5. この日の測定が終了した場合は、試料ホルダーはホルダー容器に入れ、2.と同じ手順で試料室を真空に引く。
11. 終了

X線管が冷えたら(電源OFFから10-30分。触ってみる)、OFFボタン(写真4-F)を押し、チラー電源のスイッチ(写真3)を切る。お疲れさま。