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紫外磁気円二色性光電子顕微鏡 |
超高真空超伝導磁石X線磁気円二色性測定システム |
極低温走査トンネル顕微鏡 |
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★紫外磁気円二色性光電子顕微鏡 Ultraviolet Magnetic Circular Dichroism PhotoElectron Emission
Microscopy (UV MCD PEEM) 横山Gでは当グループが発見した「仕事関数しきい値近傍における磁気円二色性の顕著な増大効果」[T. Nakagawa and T. Yokoyama, Phys. Rev. Lett. 96 (2006) 237402]を利用して、紫外レーザーを用いた磁気円二色性光電子顕微鏡を開発しています。これまで紫外磁気円二色性光電子顕微鏡は報告がなく、唯一報告のある紫外磁気線二色性光電子顕微鏡に比べて約2桁の感度向上が見られました。 現在の仕様は、レーザー光源として、Spectra Physics社製波長可変高出力Ti:sapphireレーザーMaiTaiHP (700-1000nm, 2.5W, 80MHz, <100fs)と2, 3, 4倍波発生器です。これにより210nmより長い波長のパルスレーザー光がある程度連続的に得られます。一方、光電子顕微鏡は、以前Elmitec PEEMSpectorを用いていましたが、現在はOmicron Focus製IS-PEEMに更新しました。仕様の空間分解能は20nmです。 図はCs被覆Ni(12原子層)/Cu(001)のUV MCD PEEM像で、上向きと下向きの磁区がはっきりと観測できています。超薄膜のUV MCD PEEM像は世界初観測です。また、2光子を利用して利用エネルギー範囲を広げる工夫や100fs程度の時間分解MCD PEEM測定にも成功しています。詳しくは下記論文を参照。 T. Nakagawa and T. Yokoyama, Phys. Rev. Lett. 96 (2006) 237402 (4 pages). T. Nakagawa, T. Yokoyama, M. Hosaka and M. Katoh, Rev. Sci. Instrum. 78 (2007) 023907 (5 pages). T. Nakagawa, I. Yamamoto, Y. Takagi, K. Watanabe, Y. Matsumoto and T. Yokoyama, Phys. Rev. B 79 (2009) 172404 (4 pages). T. Nakagawa, K. Watanabe, Y. Matsumoto and T. Yokoyama, J. Phys. Condens. Mater. J. Phys.: Condens. Matter 21 (2009) 314010. T. Nakagawa, I. Yamamoto, Y. Takagi and T. Yokoyama, J. Electron Spectrsc. Relat. Phenom. 181 (2010) 164-167. K. Hild, G. Schönhense, H. J. Elmers, T. Nakagawa, T. Yokoyama, K. Tarafder and P. M. Oppeneer, Phys. Rev. B82 (2010) 195430 (11 pages). 中川剛志、横山利彦、日本物理学会誌 62 (2007) 522-526. 中川剛志、横山利彦、表面科学 30 (2009) 332-338. 中川剛志, 横山利彦,真空 52 (2009) 589-594. T. Yokoyama, T. Nakagawa and Y. Takagi, Int. Rev. Phys. Chem. 27 (2008) 449-505. |
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波長可変紫外レーザー光源 | |
光電子顕微鏡 | |
Cs被覆Ni(12ML)/Cu(001)薄膜の紫外磁気円二色性光電子顕微鏡像。励起光HeCdレーザー(325nm)。暗部明部がそれぞれ上下方向の磁区に対応している。 挿入図は別途測定した磁化曲線。 |
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★超高真空超伝導磁石X線磁気円二色性測定システム X-ray Magnetic Circular Dichroism (XMCD) using a superconducting magnet X線磁気円二色性は元素別の磁化や軌道磁気モーメントが観測できる手法として広く利用されています。横山Gでは、分子研の放射光施設UVSOR-IIのビームライン4B (不等間隔回折格子、100-1000eV)を利用して、JANIS製の超伝導磁石を導入したXMCD測定システムを用いた実験を行っています。測定温度は5K, 測定磁場は通常±5T (最大±7T)です。試料作成用の超高真空試料準備槽を備え、基板の清浄化(Arイオンスパッタリングと加熱)や金属薄膜の蒸着装置、低速電子線回折(LEED)光学系・Auger電子分光装置などが取り付けられています。超高真空中で作成した磁性薄膜のXMCDがin situでその場観察できる装置として欧州からも利用者が来られます。詳しくは下記論文を参照。 T. Nakagawa, Y. Takagi, Y. Matsumoto and T. Yokoyama, Jpn. J. Appl. Phys. 47 (2008) 2132-2136. X. D. Ma, T. Nakagawa, Y. Takagi, M. Przybylski, F. M. Leibsle, and T. Yokoyama, Phys. Rev. B 78 (2008) 104420 (9 pages). Y. Takagi, K. Isami, I. Yamamoto, T. Nakagawa and T. Yokoyama, Phys. Rev. B81 (2010) 035422 (8 pages). I. Yamamoto, T. Nakagawa, Y. Takagi and T. Yokoyama, Phys. Rev. B81 (2010) 214442 (7 pages). T. Yokoyama, T. Nakagawa and Y. Takagi, Int. Rev. Phys. Chem. 27 (2008) 449-505. |
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超高真空超伝導磁石X線磁気円二色性測定システム。 挿入図はMnフタロシアニン多層膜のMn-L吸収端XMCDスペクトル(5K, 5T)。 |
Pd(111)表面上に成長させたFe(2原子層)/Ni(6原子層)薄膜のFe, Ni-L吸収端XMCDスペクトル。θはX線の入射角で、磁場は常にX線入射角と平行。 |
★極低温走査トンネル顕微鏡 Low-temperature Scanning Tunneling Microscopy (STM) 極低温(約10K)でのSTM観測装置。Unisoku USM-1200にRHK Controllerを整備したものです。磁性薄膜の表面構造等を観測するために用いています。現在は、西信之教授のご退職で譲っていただいたSTM装置(同じ機種)と併せて2台を運用しています。 |
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Unisoku製極低温走査トンネル顕微鏡。 | |
STM像の測定例。Cu(001)表面に成長させたγ-Fe4N薄膜(2原子層)。右上はLEED像で、p4gm(2x2)超構造を示している。詳しくは、Takagi, K. Isami, I. Yamamoto, T. Nakagawa and T. Yokoyama, Phys. Rev. B81 (2010) 035422 (8 pages).参照。 |
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★磁気光学Kerr効果測定システム Magneto-Optical Kerr Effect (MOKE) 磁性薄膜を調製しながら簡便に磁性薄膜の磁化曲線を測定するための装置です。常伝導磁石(±3000Oe)で100-300Kの範囲のMOKEを迅速に観測できます。光電子磁気円二色性測定も可能です。各種レーザーが利用でき、研究室には半導体レーザー635nm, 405nm, 375nm, HeCdレーザー、Ti:sapphireレーザーなどがあります。 |
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常伝導磁石MOKE測定装置。試料作成は上部で行う。 |
Ti:sapphireレーザー(800nm, 100fs, 80MHz, 1W, 白)とHeCdレーザー(325nm, CW,10mW, 黒)。 |
MOKE磁化曲線の測定例。Co(5原子層)/Cu(1 1 17)ステップ薄膜にAgを吸着させる前後で磁化容易軸が90度回転している。Ag吸着前はステップ平行方向に磁化し、吸着後はステップ垂直(面内)に磁化する。詳しくは、T. Nakagawa, H. Watanabe and T. Yokoyama, Phys. Rev. B74 (2006) 134422 (6 pages).参照。 |