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顕微光電子分光装置
VG ESCALAB 220i-XL概要
顕微光電子分光装置の公開お知らせ

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2007年4月1日 記載責任者 横山利彦(内線7345)
担当者 中川剛志 (内線7341)

設置場所 分子科学研究所・実験棟5階503号室
問合先 物質分子科学研究領域・横山利彦
(yokoyama@ims.ac.jp, TEL 0564-55-7345)
電子分光器 静電半球型150mm、電子レンズ(静電+磁気レンズ)
X線源 ツインアノード(Mg, Al),分光器なし。
出力15kV, 20mA (Mg)または15kV, 34mA (Al)
エネルギー分解能と計数率 Mg-Kα線を用いた清浄化処理を行っていない金板のAu4f7/2半値幅は,パスエネルギー10eVで0.9eV(計数率1200cps),パスエネルギー50eVで1.4eV(計数率3200cps)。図2(a),(b)参照。
空間分解能 イメージモードにおいて約5μm [現状では図3(a),(b)のようで約10μm]。分光モードでは最高20μm(仕様値),通常の広領域測定は1mm程度の領域を計測。
真空度 測定槽 2×10-8Pa程度 (測定槽主排気はイオンポンプ、粗引きはターボ分子ポンプ)
装備機器 フラッドガン(試料中和用,イメージ用)
制御系 OS: IBM OS/2 ver.2,制御ソフト: Fisons Eclipse
データの持ち帰りは,テキストファイルまたはbmpファイル形式など。MOまたはFDが利用可。

図1に本装置の写真を示しました。
 ロードロックに試料を装填し,ロードロックを粗引きターボ分子ポンプにより数時間かけて真空引きした後,試料を直線導入により測定槽の試料マニピュレータに受け渡し,スペクトルの測定を行います。
 測定槽はイオンポンプで排気され,真空度は2〜3x10-10Torr程度で,X線を動作させてもさほど変化はありません。電子レンズには2つのスリットがあり,試料が十分大きな面積を有する場合は2つとも全開し,試料が小さい場合スリットを閉じることで試料以外からの光電子を除去してバックグランドを下げます。分光モードでは20μmまで絞ることが可能です。測定槽には,試料中和用およびイメージング用にフラッドガンが装備されています。フラッドガンはイメージング時0.5kVの電子線を試料に照射します。

 
←図1 ESCALAB 220i-XLの全体写真。2003年2月20日現在のセットアップ。



図2に,清浄化処理を行っていない金板のAu4f7/2,5/2の光電子スペクトルを示しました。線源はMg-Kα,パスエネルギー(a) 50eVおよび(b) 10eV,広い面積からの光電子を計測したものです。低結合エネルギー側(75-80eV)にMg-Kα3,4によるサテライトが生じていますが,これは分光器がないためであり,ソフト処理により概ね除去可能です。



←図2 Mg-Kαによる清浄化処理を行っていない金板のAu4f7/2の光電子スペクトル。1x1mm2領域の測定。パスエネルギーは(a)50eV,(b)10eV。



図3(a),(b)に,空間分解能性能評価用標準試料のイメージングデータを示しました。入射線源はフラッドガンからの電子線(0.5kV)を用いています。弾性散乱を計測したものです。仕様は5μmですが現状では10μm程度の空間分解能になっています。2003年1月末に移設したばかりで空間分解能がやや悪い点は検討する予定です。



←図3 イメージモードにおける空間分解能の性能評価データ。(a)は一辺500μm,(b)は一辺250μm。入射線源はX線の代わりに電子銃(0.5 keV)を利用。約10μmの空間分解能になっている。